黒鶏の集う試飲会アンテプリマ  ~キャンティ・クラッシコ・コレクション~

会場はフィレンツェ市内のレオポルダ駅
会場はフィレンツェ市内のレオポルダ駅

 花の都フィレンツェで、2月20日にキャンティ・クラシコの試飲会が行われました。

『アンテプリマ』と言われるプレスやワイン専門業者のみに開かれている試飲会で、市場に出る直前のビンテージを思う存分試飲できるものです。

 

 2012年はキャンティ・クラシコ・リゼルバ2008年とキャンティ・クラッシコ2009、10年などを試すことができました。

トスカーナをはじめ中部イタリアを代表するサンジョベーゼ種を80%以上使うことが義務付けられていますが、残りの20%未満はどのブドウを混ぜても良いので、比較的個性が出しやすいワインではないでしょうか。

 

 キャンティ圏内でも特に歴史的にずっと作り続けていた地区をキャンティ・クラッシコと言います。エリアはフィレンツェからシエナの間の谷がちなエリア。以前はキャンティとキャンティ・クラッシコは同じDOCGのエリアでしたが、1996年にキャンティ・クラッシコのみ独立して、個別のDOCGとして認知されました。(協同組合が発祥したのは1924年)ガッロ・ネロ(黒い鶏)のロゴが象徴的。そのエリアを訪れたら、起伏のある丘に植わるブドウ畑を目にすることができます。とってもきれいですよ。

 

キャンティ・クラッシコ協会の会長Marco Pallanti氏がここ最近の傾向について「サンジョベーゼ種の個性を生かしたいから樽使いの多様を避けている。特にバリックは木の香りでブドウの個性を消して凡庸にしてしまうので、最近は使わない傾向だ」と言っていました。それは近年のトスカーナの試飲会で私も感じていたこと。やはりキャンティ・クラッシコもそうなんだなぁ、と納得です。

 それでは実際、試飲会で味わうことにしましょう。

レオポルダ駅の会場には、169ものブースがずらり!!

どのブースから試飲しようかな~。印象に残った作り手を紹介します。

 

Caparsa(カパルサ)

個性的なボトル。作り手も分厚いメガネをかけていて面白いキャラでした。

「農民が作るワインだから、農薬は使わずにBioなんだよ!」と開口一番。

 

*Chianti Classico DOCG Riserva Caparsino 2008

サンジョベーゼ97%、カナイオーロ、マルバジア・ネーラ、コロリーノ各1%ずつ 5333

 

*Chianti Classico DOCG Riserva Doccio a Matteo 2008

特別試飲させてもらったChianti Classico DOCG Riserva Doccio a Matteo 2007は秀逸でした。90%サンジョベーゼ、5%コロリーノ、5%アンチェロッタ

フルッティ・ディ・ボスコ、黒コショウ、ヨード、とてもエレガントで酸味のバランスが良い。2008年は良い年だったようです。地場の菌で12日間自然発酵、500mlのトンノー()2年間熟成。有機ワインの市場を狙うのではなく、自然と調和したワイン作りを目指すために行き着いたのが有機で作るワインでした。

Castell’in Villa(カステリン・ヴィッラ)

Chianti Classico DOCG Riserva Poggio delle Rose 2008 モーレ、チェリー、野バラの香り、スパイス サンジョベーゼ100%、エレガント 18ヶ月フレンチオークで熟成 黒コショウがしっかりときいたペポーゾ(牛肉の煮込み)なんかにあわせるのはどうかしら。

 

Castello di Ama (カステッロ・ディ・アーマ)

 

Chianti Classico DOCG Riserva 2008サンジョベーゼ80%、メルロー、マルバジア・ネーラ、カベルネ・フラン20% アマレーナ、タバコ、黒コショウ、キニーナなどの香り

 

標高は390530㍍で、粘土―石灰質(貝殻などもある)でキャンティ向き。12月半ばからバリックで12ヶ月熟成(20%は新樽、それ以外はセカンド)。ここは土地にすごくこだわっていて、Cruに分けて栽培している、と熱心に説明してくれました。彼女曰く、キャンティでもようやく数年前からCruの考え方をする生産者が増えてきた、と言っていました。

 

フィレンツェ風ステーキに会うようなエレガントででもボディもある味わいでした。

 

Antico Lamole(アンティコ・ラモーレ)

いきなり、うちはピエディ・フランコ(台木無しの自根にて植樹)で作っているんだ、とカンティーナのご主人パオロ・ソッキ氏に言われました。ここのキャンティはどれもサンジョベーゼ100%で、ブドウに対するこだわりが見て取れます。

昨年仕込んだばかりのキャンティ・クラッシコ2011を飲ませてもらいビックリ。ヴィノーゾ(ブドウジュースみたい)感は否めませんが、チェリーやリクイリッツィアの香りがすでにしていました。

Chianti Classico DOCG Castello di Lamole 2008 アマレーナ、プラム、腐葉土、タバコ…ほのかに月桂樹の葉の香りがします。香り深く、厚みがある感じ。口に含むときちっとした密度があり、余韻が長い。味わいは深くエレガントですが、少し素朴さがあり、とても気に入りました。

 

パオロさんは畑の写真を見せながら「16.5ヘクタールのうちの6.5ヘクタールは棚田(terazze)で作っている」と説明してくれました。1950年までキャンティエリアでは、棚田でブドウを作る農家がほとんどだったそうです。それがトラクターが入らない…などの理由でどんどん取り壊されていきました。この畑も例外ではなかったのですが、2000年に入って昔の棚田を復活させました。

 

棚田の利点は3つ。

①ブドウの根のはり方が良い…つまり土に空気が含まれているため、根に良い影響を及ぼします。湿気がこもらないので疫病の被害も防げます。

②日中と夜間の気温差が大きい…勾配を生かして作られた棚田では、昼夜の温度差が大きいためアロマを豊かに含んだブドウ(特に皮の部分)ができます。

③ブドウの方向が変えられる…勾配に直接植えていた時は北西に植えざるを得なかったブドウですが、棚田にして南北に配置することができ、満遍なく日光が当たるようになりました。

 

それらの利点を、写真を見せながら熱心に語ってくれました。

家に帰ってサイトで確認したら、棚田以外から出来るブドウも実にバリエーション豊かでした。30~40年以上たったブドウの木がほとんどで、中には70年というものもあり、これはアルベレッロ(木のように支柱なしで育てる)仕立てで植えられています。

Fattoria di Lamoleはもともとブドウ生産農家。品質の良いブドウをブルネッロ・ディ・モンタルチーノの名だたる生産者に卸していたと言います。

そんな品質の良いブドウを、有機農法で棚田まで作って育てている。

 

 

 

ブドウ作りにこだわり抜いたカンティーナだと思いました。キャンティ・クラッシコの生産量は年間4000本ほど。現地でしか飲めない稀少な1本です。

 

その他 良かった生産者の写真など
その他 良かった生産者の写真など

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キャンティ・クラッシコ 直近データ(2011年)

生産量は全体で27-28万トン(3300万本)

うち海外輸出78%、国内消費22%

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